5人の大人の愛と虚しさ「 おとなのけんかが終わるまで 」
8月11日(土)のマチネ ← 一度使ってみたかった用語(笑) 昼の部で観てきました。
「おとなのけんかが終わるまで」
場所は、兵庫県立芸術文化センターの阪急中ホールというところ。
西宮北口駅、降りてすぐのところです。
都会に来るといつも思う。こういう劇場やホールがいくつもあって、フラッと週末に、仕事帰りにアートを楽しめるなんて、いいなぁと。
キレイな格好をしたお婆ちゃんが一人で、フラッと劇場に足を運んでいるなんて、素敵だなぁと。
それと、神戸の街はいいですね♪なんか町の広さと人の多さが、ちょうど良い感じがします。あと阪急電車、乗り心地いいなぁ~と。
トイレもそんなに待たなくても良いし(笑)
※田舎の人間からすると、トイレに行きたいだけなのに、地下街のトイレで20分待ちとか意味が分からない!と大阪に行くとよく思う。
「 おとなのけんかが終わるまで 」登場人物とキャスト
登場人物は5人のみ。
鈴木京香さん: アンドレア 見習い薬剤師のシングルマザー
北村有起哉さん : ボリス 妻子のいる会社経営者
藤井隆さん :エリック マザコン
板谷由夏さん : フランソワーズ ボリスの妻の親友で、エリックの妻(未入籍)
麻実れいさん : イヴォンヌ エリックの母親 軽度の認知症
こんな豪華な5人が繰り広げる、おとなのけんかです!
ずっとテンポよくしゃべりっぱなし!休憩なしの約2時間。
小さなホールだったので、俳優さんたちはマイクもなく、地声でした。
鈴木京香さん、テレビと同じ声と話し方!!わおーーー!!
なんて思いながら鑑賞。
緞帳すらも無く?使わなかっただけかもしれないけど、場面転換は照明を落として、静かに手早く行われていました!ブラボー、裏方さん!
ストーリー みんなツラくても毎日生きてるんだよ!
とあるレストランの駐車場。
破局寸前の不倫カップル、アンドレアとボリスがもめています。
ボリスが、妻のおススメのレストランに不倫相手のアンドレアを連れてきてしまったために、アンドレアが怒っているのです。せっかくオシャレしてきたのに、せっかく楽しみにしてきたのに!と。
面倒くさくなって、ボリスはアンドレアをなだめすかして帰ろうとします。
が、駐車場でお婆さんを轢いてしまいます!幸いケガもなく無事でしたが、そのお婆さんの息子の妻が、ボリスの妻の親友だったことから、
せっかくだから一杯?という流れになり、レストランに入るのですが・・・
ボリスは、妻の親友に不倫がバレてしまったんじゃないか?と気が気でないし、仕事の方も上手くいってないし、ずっとイライラしています。早く帰りたくて仕方がない。
アンドレアは、そんなボリスの態度にイライラして、常備薬をどんどん服用、だんだん情緒不安定になってくるし…
フランソワーズは、親友の夫が、女とレストランにいるし、その女アンドレアが何者かわからないし態度も気に入らないので、冷たい態度をとると、そんなこと言うなよ!と夫エリックからなじられるは、姑のイヴォンヌからなじられるわ、味方がいない状態。
エリックは、なんとかその場を和ませようと頑張るものの、次から次へと不思議なことを口走る母親のイヴォンヌへの応対で消耗…
正気に戻ったり、戻らなかったりするイヴォンヌ。その日は、彼女の誕生日を祝うためにこのレストランに来たはずなのに…。
いったいどうなってしまうのか? そんなお話。
フランスの作家 ヤスミナ・レザの作品です。なんというか、ポンポン言いたいことをいう感じとか、ケンカの内容とかリアル&シニカル、すぐにお薬に頼るところとか(笑)とても海外の作品っぽいです。
え!?ここで終わり!? っていう、最後もフランスっぽいね!
やっぱり出演者がよいな!!
妻とは別れるつもりはないけど、不倫もやめるつもりはないボリス。大きな声で怒鳴り散らすし、仕事も上手くいってないし、表情も服もくたびれている。
だらしない頼りない、でも自分を何とか大きく見せようとする哀しい男。そんなボリスを人一倍大きな声で演じていました北村有起哉さん!
9歳の娘に、スカート短いんじゃない?と言われて、ちょっと考えたけど、デートだから張り切って着て来たアンドレア。不倫は良くないとわかっているし、ボリスとはダメだなぁと思って、若い男の子と仲良くなったりもしているけど、
それでもやっぱり弱っているボリスを見たら、バカね!やっぱりあなたには私がいないとダメなのね・・と思ってしまうアンドレアを、チャーミングに上品に演じていた鈴木京香さん! 声もボディもセクシーだな!!
一生懸命お世話をしているのに、まったく自分のことを好いてくれない姑イヴォンヌと全然自分をかばってくれないエリックに不平・不満がたまっているフランソワーズを、嫌みになりすぎないバランスで演じていた板谷由夏さん。シュッとしててかっこよかった!
妻と姑の板挟みになって、いつも右往左往しているが、だいたい母親の味方エリックをコミカルに演じていた藤井隆さん。
バッグが閉まらない、やりとりが面白かった(笑)
実は、周りで何が起きているのかをしっかり理解して、まるで引っ掻き回すのを楽しんでいるようなイヴォンヌ。お婆ちゃんと呼ぶには、格好良すぎる麻実れいさん!
それぞれのキャラクターからは、こんな印象を受けました。
おとなってツライ、でも人生って愛おしい!
私は、ボリスのような男が一番腹立つし、アンドレアのように自分から泥沼にはまっていく女も、意味が分からないんだけど、
フランソワーズのような、お堅くて不器用な報われない女性は応援してしまう。ちょっと真面目過ぎるとも思うけど。
たった5人のキャラクターしかいないのに、全大人が誰かには当てはまっちゃうんじゃないかと思うようなお話でした。
次から次へとケンカの種がまかれて、もはや一体なにからケンカが始まっていたのか分からない状況になったけれども、愛も悲しみも全部含めて、おとなっていいな!と思いました。
普段はミュージカルを観ることが多いのだけども、こういう普通の劇も面白いなぁ。そして、役者さん含め、舞台に関わる人すべてを尊敬しちゃいます。